人はなぜ「HHKBみたいなスイッチありませんか?」と質問するのか?~【謎理論】男子中学生にとっての綺麗で頭のいい女子高生のお姉さん理論~

 キーボード系のDiscordで定期的にされる質問に「HHKBみたいなスイッチありませんか?」というものがあります。それだけHHKBの打鍵感を自作キーボードに求める人が多いということでしょう。

この質問に対する識者たちの回答は大体二つに分かれます。

「〇〇とか△△とかどうですか?」と提案するパターン。

HHKBってそんなに打鍵感いいですか?」とちょっと塩対応なパターン。

本記事は、なぜこの質問が多いのかを自分なりに考えてみたものです。例によって新たな知見などはありませんし、私の独自の見解なので、適当に楽しんでいただければ幸いです。

目次

  1. そもそもHHKBって?
  2. HHKBとのファーストコンタクト
  3. 【謎理論】男子中学生にとっての綺麗で頭のいい女子高生のお姉さん理論
  4. でもちょっと不満が出てくる
  5. 終わりに

1.そもそもHHKBって?

HHKBはHappy Hacking Keyboardの略であり、PFU(リコー傘下のコンピュータ関連メーカー)という会社の製品です。Fnキーとテンキーのない60%キーボードで、メーカーの直販サイトによると安いものでも¥26,950円、最上位モデルは¥36,850円。100円ショップでもキーボードが買える現状からすると、とてつもない高級品という感じです。

自作キーボードの主流であるメカニカルキーボードではなく、静電容量無接点方式を採用した、独特の配列と打鍵感で世界的に人気のキーボードです(ただし、静電容量無接点方式自体はHHKBのオリジナルではなく、Realforceシリーズを販売する東プレからのOEMです。)。

私もHHKBを3台所有しています。いずれも現在は販売終了しているモデルです。

一番上がHHKB Lite2。廉価版(といっても5,000円くらいはした記憶)のため、静電容量無接点方式ではなく、多くの安いキーボードと同じメンブレンスイッチを採用しています。

真ん中がHHKB Professional2。3台の中で一番古く、15年くらい前に買いました。ちょっと改造してあります。

一番下が一番最近買ったもので、HHKB Professional Type-S。最近といっても5年位前かな。仕事が忙しい時期で残業代がたくさん入ったので、ストレス解消にポチった思い出が…。

2.HHKBとのファーストコンタクト

さて、HHKBが人気のある高級キーボードだというのは(あまり)異論はないと思いますが、なぜ自作キーボードに触れた人たちが本記事のタイトルのような質問をするのか?いよいよこの点に関する私の独自の見解に入っていこうと思います。

それまでメンブレンのキーボードにしか触れてこなかった人が初めてHHKBに触れたときにどんな感想を抱くか?

「ナニコレスゴイ…。こんなの初めて」
「なんやこのコトコト感…。ずっとコトコトしてたい」
「やヴぁいキーボード買っちゃった。俺ってば、おしゃれなガジェットを理解できる男だな」

こんな感じで、初めて経験する高級キーボードの打鍵感に打ち震えたり、高級なデバイスを所有してしまった高揚感や優越感に浸るのではないでしょうか。私はそうでした(笑)

Macのノートばかり使ってきたため、HHKBに触れるまで打鍵感という概念すらありませんでした。ペラペラのキーを打っていても不満などなかったし、なんなら外付けのやたらと背の高いキーキャップの付いたキーボードは打ちにくそうとすら思っていました。

15年前の私は、①少し給料が増えた時期であったこと、②勤務先で用意された家賃格安の集合住宅に入れたこと、③独り身であったこと、④お金のかかる趣味がなかったことから、お金には(少し)余裕がありました。

当時のMac系の雑誌には、Win系の雑誌に比べて少し高級なガジェットが紹介されていました(私調べ)。120万円の3Dプリンターなんかも紹介されていて、「誰が買うねん?」と思ったものです。HHKBも毎号のように紹介されていて、「なんかカッコよさそうだけど、3万円は高いなぁ」と日々少し憧れながら眺めていたところに、少しお金に余裕のある状態が訪れたため、思い切って購入しました。

まず、あのコトコト感(音?)にびっくりして、一瞬で虜になりました。今までのMacBookのキーボードが嘘みたいに安っぽく感じるようになりました。

それに加えて高級ガジェットを所有したという興奮です。雑誌やPFUのサイトによると、東大の名誉教授が開発に関わったというではありませんか。もう、「素晴らしい製品を理解し、それに見合ったお金を払える男になったな、俺も」的な陶酔感も押し寄せてきます(勘違いですが(笑))

3.【謎理論】男子中学生にとっての綺麗で頭のいい女子高生のお姉さん理論

そう、HHKBを初めて触った時の感動があまりに大きくて、いつまで経ってもその感動を追い求めてしまうんですよね。

これはもう、男子中学生が始めてお付き合いした相手が、綺麗で頭のいい女子高生のお姉さんだったみたいな感じです(注1)。いつまでたっても忘れられないし、その時の感動を超えるのは無理なんだと分かっていても、ずっと追いかけてしまう…。

注1 筆者が男なのでこのような例えになっていますが、各自自分の恋愛対象の性別等を思い浮かべて脳内変換してください。なお、筆者には中学生の時に彼女なんていませんでした。空想上の存在だと思ってました(男子校だったし)。

話は超脱線しますが、藤原氏っているじゃないですか?(いきなりどうした?)平安時代に活躍した貴族です。

藤原氏が自分の娘を天皇や皇太子に嫁がせて、生まれた孫(後に天皇の位につける)の外戚(母方の親族)として権力を手にする、っていうのは日本史の教科書にも書いてあったと思います。ちなみに、日本の藤原氏だけはなくて、中国や、ヨーロッパのハプスブルク家でも同様のことは行われていました。ある意味、貴族が権力を手にする常套手段ですね。

ここでちょっと不思議なのが、「そんなに上手くいくか?」ということですね。天皇や皇太子が差し出された藤原氏の娘を気に入らない可能性だってあるんじゃないか?

実際そういうこともあるし、なんなら源氏物語に出てくる帝はあまり身分の高くない貴族の娘を寵愛していました(その二人の間に生まれたのが光源氏)。

だから、そうならないように、藤原氏のトップの面々は自分の娘の教育に余念がなかったわけです。藤原道隆は娘の定子の家庭教師に清少納言をつけ、藤原道長は娘の彰子の家庭教師に紫式部をつけ、いずれも同じ天皇に嫁ぎました。一流の家庭教師をつけて教養を身につけさせ、天皇を飽きさせないよう、寵愛を受けるように教育したのです。

確かに、皇太子が今の中学生位の年齢の時に、少し年上で美人で教養があって面白い話題で飽きさせないお姉さんがお嫁さんになったら、それはメロメロになることもあるでしょう。そりゃ義父の言いなりにもなりますよ(断言)。

そうなんです。初めて出会った存在(例えばHHKB)が圧倒的だった場合、はまってしまってずっと忘れられなくなってしまうというのは、歴史が証明しているのです(言い過ぎ)。

脱線終了。

だから自作キーボードに興味を持った時も、HHKBと同じ打鍵感で自由にキーボードを作れるのかな?と思ってタイトルの様な質問をするのだと思います。私もHHKBと同じような打鍵感のスイッチ、欲しいと思いましたし、自作キーボード沼に入って2年以上たった今でも、そんなスイッチが出たらいいなと思っています。(注2)

注2 そもそも、ほとんどの自作キーボードで使用されるメカニカルスイッチとHHKBで使用されている静電容量無接点方式は根本的に構造が異なるため、同じ打鍵感というのはほぼ不可能だというのは理解しています。ただの願望です。

4.でもちょっと不満が出てくる

ここで一つ疑問が。そんなに気に入っているHHKBなら、自作キーボードなんかに手を出さなくてもよいのでは?という疑問です。

確かにファーストインパクトで強烈な印象を与えてくれるHHKBですが、全員に等しく完璧という訳ではありません。むしろガジェットにこだわる人であればこそ、「ここをもう少しこうしてくれれば…」という部分が出てきます。

まず、キーの物理的な配列は変えることができません。カラムスタッガードやアリス配列がいいなと思っても、メーカーが作ってくれなければ手に入れることはできません。

キーのソフトウェア的な配置については、ある程度は変更できますが、自作キーボードのように思いのままという訳にはいきません。

また、見た目が地味というのもあります。基本は黒か白。色付きのものとしては、公式ではESCキー、Controlキー、ブランクキーが少しある程度。サードパーティ製だとキーキャップセットがいくつか存在しますが、MX軸対応のキーキャップと比べるとその数は圧倒的に少ないです。

自分の好みに合った配列と見た目でキーボードを作ってみたい。ついては、もちろんあの衝撃的だったHHKBと同じ打鍵感でお願いしたい。そういう気持ちから出てくるのがタイトルの質問なのです(きっと、多分)。

5.終わりに

人はなぜ「HHKBみたいなスイッチありませんか?」と質問するのか?
この疑問に対する完全な回答ができました(頭大丈夫か?)

Discordのキーボード系サーバで回答する側の識者の皆さん、この質問が出るのは致し方のないことなのです。なので、似てると思われるスイッチを教えてあげるか、「HHKBもいいけど、メカニカルスイッチは100種類以上あって、きっとあなたの好みに合うものも見つかるよ」と優しく教えてあげてくれたらいいなと思います。

以上、筆者による謎理論と日本史のお勉強記事でした。





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