マクロパッドを設計してみた

『マツコの知らない世界』をきっかけに、自作キーボードの世界に足を踏み入れて約2年。キットの組み立てから入りましたが、今ではサリチル酸さんのGL516のテンプレートを利用しての設計を経て、オリジナルの基板を設計して楽しんでいます。

この記事では、オリジナルのマクロパッドを設計した話を書いてみたいと思います(設計のノウハウの記事ではありません🙇マクロパッドをたくさん作ってみたという話です。初心者による設計の話は、また別に記事にしようと思っています。)。

目次

  1. マクロパッド設計の動機
  2. 購入したマクロパッドを紹介
  3. マクロパッドを作ってみた(初号機)
  4. マクロパッドを作ってみた(二号機)
  5. マクロパッドを作ってみた(三号機)
  6. 終わりに
1.マクロパッド設計の動機

私は、職場ではfoostanさん作のCorne Chocolateとはやしたろうさん作のShotgun チェリーパイを使用しています。机の上で書類を広げたいので、専有面積の小さい40%キーボードであるCorne Chocolateはちょうどいいサイズなのです。そして、Excelを利用することも多いので、補助的にマクロパッドを使用しています。アローキー(矢印キー)も多用するので、マクロパッドに割り当てています。撮影したのは自宅ですが、こんな構成で仕事をしています。


マウスパッドを置く場所がもったいないので、代わりにトラックパッドを使用しています。Shotgun チェリーパイを横向きに使用して、テンキーとアローキーを共存させているのがちょっとした工夫です。


このように、マクロパッドを常用しているのですが、自作キーボードをやっていると気になることが一つ…。キーキャップを買うと、テンキー部分て余りません?

大概のキーキャップセットにはテンキー用のキーが含まれていますが、80%以下のキーボードを作る分には余ってしまい、他の使われなかったキーとともに棚の奥深くにしまわれてしまいます。

こんな風に棚に積まれたキーキャップがどこのご家庭にもあるはず…。

だったら、せっかくGL516で設計をかじるようになったし、自分で作って気分によって変えたら楽しいんじゃないか?というのが1番目の動機です。ついでに言うと、たいてい基板は5枚からのオーダーなので、一つ設計すればマクロパッドが5個作れます。

2番目の理由は、単純にマクロパッドが好きなんですよね。数字を高速で入力して、たーんっとEnterキーを押すのが気持ちいいし、見た目も可愛い。そんなマクロパッドをたくさん作りたい…そんな単純な動機です。

3番目の理由は、キーボードをたくさん作りたかったから。アルファキーを含む40%以上のキーボードを作るには、キットの代金の他、キーキャップやスイッチなどの必要なパーツを含めると、なんだかんだで2~3万円くらいしてしまいます。
しかーし、マクロパッドならキットも5,000円以下で買えるものもたくさんありますし、スイッチの数も少なくて済みます。キーキャップに至っては、余っているものを使うので実質タダです(笑)

そんな訳で、マクロパッドを作ってみようと思い立ちました。

2.購入したマクロパッドの紹介

さて、実際に作ったマクロパッドを紹介する前に、購入したマクロパッドを紹介します。

先ほど紹介したShotgun チェリーパイの他に、3つほどキットを購入して組み立てたものがあります。

一つ目がmonksoffunkさん作のAttack25です。5×5の基本的な形をしたマクロパッドのお手本のような作品です。こちらは、Shotgun チェリーパイの前に職場でがんがん使っていました。


ちなみに、キーキャップはNP PBT Crayon KEYCAPS SETです。このセットは可愛いだけでなく、プロファイル(キーの高さ)が列によって変わらないため(全キーフラットで同じ高さのため)、マクロパッドにつけるときにもプロファイルの不一致を気にせずに済み、見た目をきれいにできるのでお勧めです。もう1セットほしいと思ってるくらいです。去年の遊舎工房のお楽しみ袋に入っていた人が何人もいて、私は袖を噛んで羨望のまなざしで見てました。私のお楽しみ袋には滲むと噂のあの子が入ってました。値段は私のに入ってた子のほうが高いんですけどね…。

二つ目は、これは正確にはマクロパッドではないかもしれませんが、あんりあるさん作のTENTAKUです。遊舎工房でもマクロパッドに分類されているから、マクロパッド扱いってことで。実際には電卓なんですが、MX用のスイッチとキーキャップで組み立てるので、自作キーボード界隈でも人気の作品です。

キーキャップはTai-Hao ABS Starry Night。今は再販されていますが、私が手に入れた当時は終売になっており、イギリスのショップから取り寄せました。ちなみに、、花火のキーキャップはBOXXX KEYCAPさんのAll about youth(今はこの作品の販売ページはないようです。)。1個5,000円の高級品ですが、再販されたらまた買いたいと思うくらい、完成度の高い作品です。ちなみに(ちなんでばかりだな…)、フジファブリックの楽曲である『若者のすべて』(注:YouTubeへのリンクです。動画が流れますので音量に注意。)がモチーフになっています。この曲も最高に素敵なので、聞いたことない人はぜひ聞いてほしいです。

三つ目はサリチル酸さん作のKeyFuda01(with FudaBakoケース)です。キーキャップはMBK Choc Low-Profile Keycapsで、テトリス風にしてみました。白のアルミケースがとてもきれいです。



3.マクロパッドを作ってみた(初号機)

では、いよいよ自分で設計したマクロパッドを紹介しようと思います。設計方法は、サリチル酸さんのGL516のテンプレートを流用しています。上述の通り、初心者による設計手順については別の記事にまとめたいと思います。

基本的な流れは、次のような感じ。

  1. KLE(Keyboard Layout Editor)で配列を検討する。
  2. KiCadでPCB(基板)等の設計をする。
  3. 発注する。
  4. 組み立てる。

KLEでの作業はこんな感じ。キーを並べて配列を検討します。この作業はワクワクして好きですね。


Attack25を使用した結果、25キーまでは必要ないなと感じたので、23キーにして、空いた部分にPro Microを配置することにしました。Pro Microを表側に実装することで、ダイオード等の他の部品との干渉を気にする必要がなくなるので、初心者の設計にはお勧めです。また、将来的にOLEDとか付けてみたいなとか思ってこのデザインしました。

KiCadでの作業はこんな感じ。トッププレート、PCB、ボトムプレートを面付け(複数の基板を一枚の基板にまとめること)して値段を抑える工夫をしました。

また、CHERRY MXとKailh Choc v1の両方に対応させています。

名前は私のIDにもなっている飼い猫のクレアからとって、ClairePadHBにしました。HBはMXとChoc v1の両対応ということで、ハイブリッドの略です。もう少しかっこいい名前にすればよかったと今では思っています。


基板の発注はElecrowでしかしたことがありません。品質に定評があるので最初に使って以来、一度も不具合がないためずっと使っています。

実際に届いたのがこちらです。基板が届いたときはいつもワクワクします。一方で本当に動くか緊張もしますが、ワクワクが勝ちますね。


そして、実際に組み立てたのがこちらです。設計にミスはなく、無事に動きました。


左二つがMX版。一番右がChoc v1版です。

機能的にはとても満足だったのですが、見た目の点で一つミスがありました。


見えづらいかもしれませんが、猫の絵があるのが分かるでしょうか?この絵に裏からLEDの光を当てて透過させる予定だったのですが、黒や白の基板では透過しないということを知らなかったため、ただの見づらい模様になってしまいました。

最初はなぜ透過しないのか分からなかったため、サリチル酸さんのDiscordサーバで質問して教えていただきました。こちらのサーバでは、質問すると短時間で複数の人が回答してくださるのでとても助かっています。この場を借りて感謝を。いつもありがとうございます🙏

とはいえ、初めてのオリジナルキーボードとしては満足のいく出来でした。

4.マクロパッドを作ってみた(二号機)

という訳で、悔しいので二号機を発注ました。二号機といっても、発注する基板の色を紫にしただけなので、特に新たな設計作業をした訳ではありません。ポチポチっとクリックして10日ほど待つだけ。

で、届いたのがこちら。紫は高級感がありますね。


そして、無事に猫さんの絵が透過しました。


もっと色々な絵を描いて透過させたら面白いんじゃないかと考えていますが、いかんせん絵心がなくて困っています。絵の練習をしようかな…。

5.マクロパッドを作ってみた(三号機)

二号機までで特に不満はなかったのですが、三号機を作りました。

一番の動機は、Elecrowが10cm×10cm以下のサイズの基板を1ドルで製造するというキャンペーンをしていたことです。1ドルで作れるならやらなきゃ損ということで、新たに設計をしました。1か月限定で始まったと記憶していますが、延長されたようで、いまだに続いてますね。やってるうちにもう一つくらい作ってみたいな…。


二つ目の動機は、猫と月の絵を透過させてみたものの、実際には使わんな(作業中はバックライト切るよなあ)ということで、余白部分をそぎ落としたデザインにしようと思ったことです。そして、余白部分を削らないと10cm×10cmに収まらないということもあります。

三つ目の動機は、一般的なキーキャップセットできれいに埋まるようにしたかったこと。たいていのセットに含まれている「0」、「+」、「Enter」の2Uキーをきっちり使えるようにしました。時々、1Uの「0」がないセットもあるので…。キー数は22キーに減りました。

名前はArrowPadにしました。こだわりポイントがテンキーとアローキーの共存なので。


ただ、Pro Microを基板の裏側に配置した結果、部品との干渉を避けるために多少厚みが出てしまいました。どうすれば薄いまま干渉を避けられるんだろう?Attack25は全然干渉してないように見える。誰か教えてください😅

基板はこんな感じ。10cm×10cm以下に収めるために、今回はトッププレートとボトムプレートは分けています。ただ、なんかよく分からないけど、一つ3ドルになってプレート三つで9ドル。最終的に送料込みで23.61ドルになっていました。なんでだろう?


出来上がりはこんな感じ。



6.終わりに

とりあえずマクロパッド設計は一段落かなという感じですが、Elecrowの1ドルキャンペーンが終わらないうちにまた作りたくなるかもしれません。

最後に、みんなで記念撮影して本記事の締めとしたいと思います。



コメント

  1. > ただ、なんかよく分からないけど、一つ3ドルになって
    Surface Finish が HASL Lead Freeになってたとかかもしれませんね。

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    1. コメントありがとうございます。なるほど、GL516デザインガイドで基本的にはHASL Lead FreeかImmersion goldを選択してくださいとなっていたので、HASL Lead Freeにしていました。違いがよく分かっていませんが、鉛は人体に有害とGL516デザインガイドにも書いてありますので、気にしてはいません。2ドルの違いだし(笑)

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